BAD AGEシリーズ

赤き血のしるし

 集団就職で田舎から出てきた遼子はいつもひとり。定時制の高校で同じ机を使う、見知らぬ全日制の生徒に宛てて友達になってくださいと手紙を書いた。その相手は少しスレた雰囲気の男子生徒、隆だった。隆と会うようになり、遼子の生活にはりあいが出てきたが、担任の大木先生からは評判の悪い隆との交際を考えるよう言われる。教師の言い分に腹を立て、また暴力を振るおうとする隆を諌め、ケンカ別れしてしまう遼子。16歳の誕生日、一人で寂しく祝おうとしたところに隆が訪ねてくる。過って傷つけてしまった遼子の傷に自分の血を交わらせ、心をひとつにする二人。隆もまた、エリートの家庭で孤独な日々を送っていたのだった。
 ある日、元不良仲間の策略から隆が傷害事件を起こしてしまい、その現場にいた遼子もまた、社会の偏見の目に晒される。隆の母親から絶縁を言い渡され途方に暮れた遼子は、あの日隆とひとつになった血を流してしまおうと手首を切る。病院に運ばれた遼子は一命をとりとめる。その身体の中には隆から提供された血液が流れていた。ふたりの絆は、一層深いつながりを得たのだった。

ゆがんだ太陽

 麻生光(あそうめぐみ)の転入したクラスには、暴力団日向組(ひゅうがぐみ)組長の息子、修がいた。いつもひとりでいる修に、光は「相手が振り向くのを待っているだけでは友達はできない」と話しかける。光の友情が修の殻を破りはじめた頃、修の父、日向組組長が逮捕された。世間の冷たい目と組員の二代目を望む声に苦しみ、すさんだ生活を送るようになる修。そんな修を光は一晩側にいることで慰める。狭いアパートのひずんだガラス窓から太陽を見ながら、修はまともな太陽の下で生きたいと願う。
修のアパートから出てくる光を見ていた喫茶店のバーテン小庭は、小さな町に二人の醜聞を広め、修を追いつめようとする。もうこの町にいては2人にとって安らぎはない。光の母親の薦めから二人はこの町を出て生きる決心をする。しかし待ち合わせの駅に向かおうとした修の前に、計画を知ったが現れる。日向組に知らせるという小庭を止めようと、修は手にした包丁で小庭を刺してしまう。駅で待つ光を目前にして修は警察の手に落ちる。光は何も知らず、ただ修が来るのを待ち続けるのだった。

太陽への道
(続・ゆがんだ太陽)

 あれから2年。修は刑を終えて帰ってきた。真っ先に光に会うため昔の町に行ってみると、2年前のあの日から光は行方不明だという。保護司の元に身を寄せた修は、書店で働く傍ら小説を書いて自分の道を模索する。その修のはじめて雑誌に載った一編の詩が、喫茶店で働く光の目に留まる。勇気をふりしぼり修を訪ねた光は、まだ2年前の事件を知らなかった。ただ裏切られたと思いながらも、修のことを忘れられずに過ごした日々。自分の気持ちにけじめをつけるため、改めて修にさよならを言い去っていく。
作家として新たなる第一歩を踏みだそうという修の前に、もと日向組のチンピラが姿を見せ始める。以前幹部だった渡瀬という男が、今幅をきかせているという。日向組再興を恐れる渡瀬配下の手により、修は失明してしまう。久しぶりに再会した母親から2年前の事件の真相を聞かされた光は、修の側で一生彼の目になることを心に決める。長い苦しみの果てに、ようやく修は、腕の中に輝く太陽を抱くことができたのだった。

わすれな草

空の色の童話(メルヘン)

 両親の急死により、今までワルで通ってきた伊原律は小学4年生の養妹、亜美の面倒を見るため高校を中退する。亜美を邪険にした親戚の大人たちに反発し、2人きりで生きていこうとする律。しかし学歴のない元不良に社会の風は冷たい。高校時代の不良仲間の殺人事件に巻き込まれる律…。大人達の詮索が気詰まりで学校をサボる亜美。守っているつもりでいた亜美の淋しさすらわかってやれていなかったと衝撃を受ける律の前に、亜美の実の母と名乗る女性が現れる。亜美の幸せのためには母親に返した方がいいのか…。苦悩する律が出した答えは…。
 淋しさを紛らわすために亜美が考え出した「ぐるぐる話」。2人が交互に創作をつないでいく物語の中に綴られる、亜美の本当の願い、律の葛藤が胸に響く。

さびたナイフ