家庭の2乗

家庭の2乗

 美咲は、生まれたときからオバサンだった。前の年に生まれた香苗は、年上だけど姪っこ。小さな時からかわいくて、両親の愛情も祖父母の愛情も一身に集めて育った。おかげで美咲はいつも2番手。そのせいでいじけてすさんだ成長時代を過ごしたと思ってる。大学も3年めに入り、生活も慣れたところで一人暮らしを決心。同じ町内ではあるものの、やっと香苗の存在を気にせず自分の時間が持てる!アパートの下の階に住む沖津兄弟はいいカンジのツインズだし…と思ったら、またしても香苗がいりびたり、おいしいとこを持っていってしまう!?勝手に沖津ブラザーズを食事に誘っちゃうし、外食しても明るくて男らしい俊クンとふたりで消えちゃうし。いつだって主導権を握っているのは香苗。この先もこの調子で邪魔されちゃたまらない!実家に乗り込んだ美咲は、今までの不満もいっしょにぶちまけるが…。

 河作品にはめずらしく、内気で涙もろい女の子が主人公のシリーズ第1作。同じ顔でありながら、それぞれの個性がはっきりと見えるキャラクターの描き分けがサスガ。ドタバタのテンポの中で、尚クンの寡黙な愛情表現がほっとする、ちょっとだけ不思議のラブコメディ。

家庭の2乗×2

 美咲と尚クンは「痛みのわかちあい(?)」でうまくいってるみたい。香苗と俊クンもおつきあい進行中かと思いきや、いーかげんな俊クンはいろんな女の子とまんべんなくフラフラ。ちょっとコーヒーがかかっただけで、経験がない分痛いのつらいの大騒ぎするし、お調子モンなだけで度胸もないんじゃない?もう勝手にすれば?って思うけど、やっぱりちょっと気になるみたい。そんな香苗は彼女にぞっこんのラグビー部主将に誘われちゃって、今夜は二人でお食事とか。「その気があるなら迎えに来てよ」と言われた俊クン。試されてるみたいで気に入らないとヘソを曲げてはいるけれど、美咲と尚クンの仲睦まじいとこを見せつけられた後だし、ちょっとくらい男の意地を見せてみようよ、俊クン。

question 1  1階までの距離をもとめよ

 レストランでのバイトをはじめてから、尚クンはとても忙しそう。美咲もレポートが大変で、同じアパートに住んでいるのになかなか会いに行けない。バイト先に行ってみようかなとも思うけど、「知り合いには来てもらいたくないらしい」って俊クンが言ってたし…。なんとか会うチャンスを作ろうとするのにいつもスレ違い。そんな折り悪しく、街で香苗ちゃんと尚クンが仲良く買い物してる現場を見てしまった。心は千々に乱れ、香苗ちゃんにも当り散らし、挙げ句合コンで酔いつぶれてしまう美咲。介抱してくれた俊クンを尚クンと間違えて、抱きついたところを今度はお母さんに見つかって…。

question 2  FAMILY×TWINS=?

 間違って俊クンに抱きついてるところを見られてしまったことから、美咲のおかーさんが「つきあってる人を家につれてきなさい」と言い出した。誠実な尚クンはふたつ返事でOK。次の日曜日に美咲と香苗の実家を訪ねることになった。
 一方美咲の家では、そんな大イベントを急遽知らされたお父さんとお兄ちゃんが大慌て。そうでなくともふたりとも「近ごろの若いモン」にいい印象を持っていない。そして案の定、美咲がつれて帰ってきたのは、先日町中で会って気分を害するきっかけとなった、チャランポランなあの男だった。じと目で睨み、文句ばかり並べる父親と兄。その印象の悪さに母親に食ってかかる美咲。騒然とした渦中、帰ってきた香苗が間に入り、事の次第を確認。お約束の俊クンを呼び出し、解決に乗り出すのだった。

question 3  SYUNの最大公約数

 尚クンは相変わらずレストランのバイトで大忙し。美咲と会うのも限られるほど。それにひきかえ俊クンは、4月からのフリータ−生活に備えてガールフレンドたちと遊びまくる日々。香苗もまた、言い寄る星の数ほどの男どもと、いいかげんうんざりなマニュアル通りのデートをくり返していた。そんな中、俊クンのガールフレンドのひとりが香苗と間違えて美咲に挑戦してきた。ゴージャスな彼女は一方的に「あなたなんか相手にならない」と言い捨てて去っていく。当の俊クンは香苗を一風かわった家庭料理の店につれていき、お互い気の会うことを認識する。改めて現れた俊クンのガールフレンドに、今度は尚クンが間違えられて平手打ちを食らう。「関係ない人間を巻き込むな」と言う香苗に、俊クンはガールフレンドと手を切ることを約束。互いに想いあう尚クンと美咲を、ちょっと羨ましく思ってしまったのかもしれない…。

question 4  3.14 - 円周率の一日

 香苗たちの卒業式、沖津ブラザーズの両親が上京してくるという。紹介がてらいっしょに食事でもしようと、香苗は誘われたのに美咲には尚クンから何の連絡もない。それだけでも落ち込むには充分なのに、大学前では尚クンが他校の女の子にかこまれて身動きとれずにいる。同じ大学ならこんな不安な気持ちにもならずに、もっといっしょにいられたのに、と嘆く美咲。香苗は香苗で、ちゃらんぽらんな俊クンに両親のお世話係を押しつけられていた。泣きべその美咲をつれてホテルに向かおうとしたとき、卒業生の親とおぼしきご夫婦に同じホテルへの道を訪ねられる。

question 5  未来は∞(無限大)?

 美咲と香苗を気に入った沖津ブラザーズの両親。せっかくだからと美咲や香苗の家族にもごあいさつをしたいと言ってきた。いきなり結婚の申し込みかとうろたえ、反対する父と兄は大騒ぎ。
 一方、沖津父は俊が就職しないと知って激怒。田舎に連れて帰ると言い出す始末。それを聞いた香苗は、地元就職も決まっているし田舎に引き蘢るつもりもないとにべもない。そんな香苗に美咲は「たくさんつきあった中から選んだ人なんだから、あっさりと答えを出してしまうべきじゃない」と意見する。さらに尚まで一流企業を捨ててレストランで働くと言い出し、沖津父はパニック。家庭的な香苗を俊のヨメに、という一言から慌てまくった香苗の父、祖父もいっしょに大騒ぎになって…。
 春になり、尚クンの働くレストランで香苗と待ち合わせる美咲。週末のたびに上京してきてはいっしょに遊びたがる俊とともに、にぎやかな4人のつきあいは続くのだった。