まほうつかいの象シリーズ

まほうつかいの象

 6年生に進級して学級委員に選ばれたことで、富雄は幼なじみだった小森クンの率いるグループにいじめられるようになった。下校途中追ってくる彼らをかわし、あわてて動物園に逃げ込んだ富雄は、年老いた象の前だと気持ちが安らぐことを知る。ある日、飼育係のお兄さんがナイショで象にバナナを食べさせてくれた。象の声が聞こえたような気がした富雄は、喜び勇んで家へと帰るが、その道で自動車と接触事故を起こす。面倒を嫌う母親に気づかれないよう帰宅すると、出歩いてばかりの姉が夕食を作り、いつも小言ばかり言っている母が富雄のために新しい服を買って帰ってきた。小森クンから謝罪の電話があったと聞き、富雄は象がマホウをかけてくれたんだと姉に話す。明日からまたみんなと楽しくやれる。喜んで眠りについたその夜、激しい頭痛に襲われて富雄は救急病院に運ばれる…。

象たちの行進

 動物園の象の飼育係、一哉(いちや)のもとに、幼い頃自分を捨てた母親が訪ねてくる。不遇な少年時代の記憶から、どうしても母親につらくあたってしまう一哉を見かね、同居している恋人・美笛(みてき)は2人の間を取り持つべく間に入ろうとする。そんな時、病気になって苛立つ象に襲われかけた一哉は、運び込まれた病院で富雄の母親に会い、富雄の死を聞かされる。富雄を想う母親の言葉に美笛の言葉が重なり、幼い頃から自分もまた、母親を恋しがっていたことを思い出す。おそらく象も人もおなじであろう、母親と子の繋がりをかみしめながら、一哉はやがて親になる明日を見つめていく。

トビオと象の星

 富雄が亡くなってから、富雄をいじめていた小森昇はクラスで疎外されるようになっていた。夏休みが明け登校した昇は、富雄の机が教室からなくなっていることに気づく。クラスメイトも先生も、富雄を忘れてしまったかのように見え、その空隙にいたたまれなくなる。悲しい目をした富雄の幻を見、また象に責められる夢を見ては飛び起きる日が続く。そんな時、富雄が仲良くしていた象が死んだという噂を聞いて動物園を訪れてみると、そこに富雄の母と姉の和香子も姿を見せていた。飼育係の一哉から象がいなくなった後の虚無感を聞かされ、富雄を亡くした自分の思いが同じだと感じる昇。仲直りしそびれたまま別れてしまった友達への、後悔に苛まれる昇の苦しみを知り、和香子も母親も、富雄は天国で象の背中に乗って、幸福に暮らしていると慰めるのだった。

象さんに会いに…

「まほうつかいの象」から3作の象さんシリーズを描くきっかけと、取材の際の裏話。
12ページのあったかい書き下ろしエッセイ。