ご町内のミナさん!
(その51〜その55)

その51 ただいま横断中!

 春の交通安全週間。町内会でも学生の通学・下校時間に、交通指導をすることになった。例によってイベントの出席率はやたらいいミナさん、今日も朝から全身を黄色く染めて横断歩道に立つ。信号を守らない高校生に怒鳴り散らしていると、近所のマンションに住むおじさんに怒られてしまった。そのおじさんも、ホントは毎朝集まる町内会の人たちに文句を言うことで人とつながろうとしていることがわかり、嬉しくなる。その時のミナさんは「いろんな人がいるなぁ」という単純な感想でしかなかった。
 なじみの役員さんには周知の事実だけれど、新しい人にはまだミナさんと新名氏の関係は異質に映る。宇崎さんといっしょに子供会の役員になったオクサンは、「役員がそんなふしだらな生活しているなんて」いい気がしないと言う。新名母の考えもそうだけれど、気楽なおつきあいというものは当人達がよければすべてよし、というものではないらしい。母親がミナさんを問い詰めたことを聞かされた新名氏は、いよいよプロの世界に身を置くことになりそうな状況とあわせ、改めて今後のことを考える。まだプロとして身を立てる決心がつかない新名氏。最終的な決断をするのは本人だと言いながらも、ミナさんは「新名氏の信号は今、青なんだ。だから渡っておいで。」と手を広げる。「ずっといっしょに歩いてくから」と…。

その52 2次元バランス

 「母にもきっちり話をするから」と、連れ立って新名氏の実家を訪ねたミナさん。かずえちゃんにも相談して、ご機嫌を損ねないよう心していたミナさんを待っていたのは、今までとは打って変わった態度の新名母だった。台所のお手伝いをするミナさんもやたら愛想のいい新名母も、お互い無理してるのは新名氏にもよくわかる。ミナさんを牽制する新名母は案の定「きっちりお話」する前に外出してしまい、結局新名氏の仕事のこともミナさんとのおつきあいのこともわかってもらうことはできなかった。
 翌日から新名氏は、H町公民館の壁画制作を開始。通りすがりのギャラリーの評価を間近に受けながら作業はすすむ。近所の子からいじめられているらしい女の子が、壁画のお花を塗らせてほしいと言ってきた。「いじめられてもお絵かきしていれば楽しい」という言葉に、自分がやりたいことをふたたび認識する新名氏。陣中見舞いに訪れたミナさんに、「志真サンにとって奈良法隆がそうだったように、自分にとっては水月志真がこの道を続けていきたいと思ったきっかけだった」と話す。新名氏の中ではどうやら、プロのまんが家としてやっていく決心がついたようだった。
 一方ミナさんは、お出かけのところを自治会長さんに呼び止められて一通の封書を見せられる。ミナさんの素行を問題視した、2丁目住人からの投書だった…。

その53  エバーアフター

 「ふしだらな生活をしている人間が役員をしていることも、特別扱いされていることも、自治会の良識を疑う」。自治会長宛に届いた無記名の抗議文を読んで落胆するミナさん。かずえちゃんは「いい機会だから役員なんてやめてしまえ」と怒りをあらわにするが、世間的におさまりがつくなら新名氏との結婚もいいかな…とミナさんの気持ちがゆれる。新名氏には「まわりにあわせて決めることじゃない」と言われるが、実は以前に比べて心境の変化を感じているのも事実。
 新名家では壁画を見てきた新名母が、息子のまんがを読む気になったという。公民館館長さんにもらった壁画制作の写真を手に呼び出した息子を待つ喫茶店で、ミナさんと新名氏の醜聞を耳にする。偏見に満ちた会話を聞いているうち「もともと異なる人生観を持つ人間を、自分の常識にあてはまらないからと否定することが間違いだ」と思わず声を荒げてしまう。遅れてきた息子に、壁画を見て受けた感動と写真の中で笑う彼の今の生活が理解できたことを話す。「もう、自分で選んだ別の生活をしているのね」と…。
 一方悩み抜いたミナさんは、自治会定例会で役員を辞任することをうちあける。反感を持たれたまま続けるのはつらいと話すミナさんを、今まで一緒にやってきた役員の人たちがあたたかく包み込んでくれた。色々な人がいるから偏見もあるが、少なくともこの中で自分は必要とされている。世間にあわせて無理に変わる必要はないのだと気づく。…そしてご町内のミナさんは、これからもいつものように、いつもの道を歩いていくのだった――。

番外編  ベネルクス珍道記(前編)

 突然どこかに行きたい病になってしまったミナさんが、ベルギー・オランダ・ルクセンブルグのベネルクス3国を旅行することになった。旅の友はめずらしく休みのあった新名氏とかずえちゃん、そしてなぜか新名父母が同行。にぎやかなパックツアーの中で、自由旅行でない不自由さとツアー客への不満を漏らしつつ旅はすすむ。それぞれ気ままにフリータイムを過ごすミナさんや新名氏とは逆に、楽しみ方を知らない新名母は所在なげ。おまけにガイドの留学生と新名父がやたらと仲よくなっていて、ますます気に入らない。ひとり置いていかれた形になった新名母は、ついに爆発し「もうお父さんといっしょの部屋にいたくない」とまで…。

番外編  ベネルクス珍道記(後編)

 ベネルクス3国で糸の切れた凧を発揮するミナさんや新名氏。留学生の女の子と妙に親しいダンナに憤慨した新名母は、自由行動でミナさんについてお土産を買ってみる。ゆったりとした公園で愚痴を聞いてもらったのをきっかけに、水月サンに対してうちとけていく新名母。そのためか、ミナさんやかずえちゃんのものの見方に少なからず感銘を受けていく。「自分中心にものを見ているから、視野が狭い分他人に応用がきかない」という言葉にも自分を重ねて反応してしまう。好き勝手に生きているように見えるミナさんが垣間見せる他人への配慮が、新名母の目には新鮮に映る。がまんするのが美徳だと思っていた視点を少しずらしてもらったことで、いろんなものがポジティヴに見えるようになった気がする。おつきあいのように参加した海外旅行は、新名母に大きなお土産を残してくれたようだった。
 見知らぬ町でも早朝散歩。いきなり出現したタコ親父、もといほーりゅーチャン。それに影響を受けて仕事に燃えるかずえちゃん…。最終回を迎えても相変わらずな面々。先のことを考えながらも、やっぱりいつもの、自分の居場所に帰っていくのだった。

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