『ぱふ1983年6月号』 特集 ささやななえ「ささやななえ その魅力」

一升びんとタタミいわしで一晩おしゃべり

 ささやさんとの出会いは、もう10年も前のことなんですね。編集に誘われていった舞台で、いまいかおるさんに会ったんです。そうしたらいまいさんが、実はささやさんとアパート暮らしを始めたというんで、“えっあの『りぼんコミック』の頃から知ってるささやさん!?”と、ミーハー的気分でおしかけていったのが、つきあいの始まり。
 作品と作者のイメージがぴったり!ということは、めったにないのは数年この世界にはいってわかっていたことだけどね。ささやさんの場合もひっくりかえってしまった。あんなシリアスでムードたっぷりの名作を数々出している人が…。お願い、一升ビンとタタミいわしを持ちだして、新聞紙の上で酒盛りなんか始めんでくれ〜〜。初対面で一晩、飲んでしゃべってと、と……、とても楽しかったじゃないか!
 私にとっては姉御的な存在で、面倒見のいいささやさんは、人間恐怖症で、その上ガンコなこちらをさりげなく“大泉学園グループ”の仲間に会わせてくれたり、徹夜で人とのつきあいのなんたるかを説いてくれたり…。おかげで性格変わりました。もっとも当時は半分しか聞けなくて、お互い疲労の朝を迎えたりして…若かったんですね。
 ささやさんはB型です。水がめ座です。ここら辺がこわかった。マジにサシで話をすると絶対の自信の前に、私のかたよった考え方などもう出せなくなってしまって、そうなると黙秘権。カベのような相手にめげず、論理的に話を進めていく彼女は偉大だった。
 今は切ってしまったけど、腰まであった長い髪をクルクルまとめてショートカットのカツラに収め、その上に帽子をかぶって吉祥寺あたりを歩いてました。大きな声で「カツラがね」と言うとすごい目でにらまれた。ピザがおいしいと聞けばその店へ行き、舌シチューが安いと聞けば出かけ、ソバを食べに所持金千円で深大寺までバスに乗り、残金の計算しながらコーヒーまで飲んで、きょうは収穫だったと喜んで帰ってきたのは楽しい思い出です。
 時おり、和田慎二さんも交じってイイ歳した三人でママゴトしたこともありました。私、子の役でね、ささやさんと和田さんがママの役。
 一度ささやさんが和田さんと喫茶店で待ち合わせした時のこと。彼女軍資金を持っていなかったので、私に連絡つけようとしたんだけど私がルスだったんですよね。閉店時間はせまるし和田さんは見えないし、目の前には空になった飲食の器。さあ店の人に何と言おう、まずはトイレに行って落ち着いて……と立ちあがったら、和田さんが別の席にいるのを見つけて、結局彼に払わせて一件落着という…。その時の彼女の心理状態、あとで笑い話になりました。
 最近は電話をしたり、年に一、二度こちらが出掛けた時に御夫婦のところにお邪魔して夕飯をごちそうになったりしています。優しくっていい旦那ですね。「おかめはちもく」好きです。彼女自身を見ているようで、そういう彼女を見ているご主人が描かれているようで楽しいです。「春夏秋冬」のシリーズも好きだけどね。
 あまり薬にたよりすぎないように身体に気をつけてください。それから…締め切りのことはこちらもアハハなんだけど……。

(原文まま)

(これは特集の中の、漫画家仲間がささやさんについて語っているページです)